すくとして残る枯れ枝にとまり、微動だにしない一羽の鵙。その枝をゆっくりと這い上がる虫。やがて待ち受けているであろう虫の運命。静寂と均衡が破られる前の張りつめた空気が伝わってくるかのようです。鋭い観察力や洞察力に基づいた武蔵の優れた筆力、描写の迫真性が堪能できる名品です。

宮本武蔵は、剣の道のみならず、書・文・画・彫刻にも非凡な才能を発揮しました。特に花鳥図や道釈人物画は、日本水墨画史上で、高く評価されています。いずれも筆数を極端に減らし、速く、鋭い筆致で対象物を簡略化しながら表現する「滅筆体」描法を基礎に描かれており、武蔵の卓越した技量が窺える代表作三点を複製。本格的な額装・掛軸に仕立ててお届け致します。

●額寸法(約)74×42?●絵寸法（約）59×27?●新絹本●樹脂製額縁・アクリルカバー入