商品名:速水御舟『炎舞』 商品コード:T-P-2012-A-18386 
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御舟の先鋭的な問題意識を総括した最高傑作
 
問題意識を総括した最高傑作
速水御舟『炎舞』
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販売価格180,000円(税別)

 198,000円(税込)
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一九二五(大正十四)年夏、速水御舟は軽井沢の洋館を借り、家族とともに約三か月間滞在した。彼は毎晩のようにたき火をし、炎とそこに群がる蛾を観察したという。さらに日中には、採集してきた多数の蛾を室内で写生していた。蛾を多方向から観察して細緻に描写し、陰影を施さずに平面的に彩色したスケッチが残されている。特に、蛾の表面の模様を丹念に描きこみ、美しい彩色を施しているのが注目される。これらの素描をもとに、数種類の種を特定できる蛾と空想上の蛾が飛んでいる様子が《炎舞》に描かれている。本作品においては、蛾をあえて全て正面向きに描き、翅の周囲をぼかすことによって、あたかも舞っているようなイメージを作り出すことに成功している。
毎晩じっくりと写生したにもかかわらず、炎のスケッチは残っていない。むしろ、この炎の表現は伝統的な仏画、絵巻などの火焔表現を参考にしたものである。たとえば《不動明王二童子像》(明王院)をはじめとする平安から鎌倉にかけての不動明王像の火焔光背にかなり近い表現である。御舟は、かつて火焔光背を持つ平安末期の《不動明王図》を、内貴清兵衛の松ヶ崎山荘で見たという。この他にも、原三溪の研究会などさまざまな機会に、御舟が仏画の名品を鑑賞していたことは当然考えられる。絵巻では、《伴大納言絵巻》(出光美術館)における暗い背景と朱や丹による火焔の対照的な描写、《地獄草紙》(東京国立博物館)、《平治物語絵巻》(ボストン美術館)などに見られる火焔の描写も参考にしたものであろう。しかし、一部の絵巻に見られる火焔が動勢表現を強調したものであるのに対して、《炎舞》の炎は安定したフォルムの中に収められている。さらに、炎の観察をした実体験を通じて、炎のまわりをぼかし、そこに立ちのぼる火煙を描くに至っている。絵巻のような激しい動きを抑制し、微妙なゆらめきを感じさせることで、この作品の神秘性、象徴性が生まれたのであろう。このような演出により、《炎舞》の炎は遠くから見るとリアルに見える。御舟の妻によれば、軽井沢滞在中のある日、外出した家族が帰宅した際、洋館の二階の窓に立てかけられていた《炎舞》を本物の炎に見誤り、火事だと大騒ぎになったことがあったという。
さらに、「もう一度描けといわれても、二度とは出せない色」と自ら述懐した背景の深い闇は、試行錯誤の末に到達した絶妙な色合いとなっている。この作品は古典の様式美と現実への観察眼を高い次元で融合させるという、大正期の御舟の先鋭的な問題意識を総括した最高傑作といえよう。

彩美版(R)とは 「彩美版(R)」は共同印刷株式会社の登録商標です。
長年の経験により培われた画像処理技術と、高精度デジタルプリントにより、画材の質感と豊かな色調を再現した共同印刷の高級美術複製画です。一枚一枚に職人の手作業によるシルクスクリーンを施し豊かな色彩や筆遣いといった原画の持つ鼓動までも表現しています。半世紀以上にわたり高級複製美術品の制作を続ける共同印刷の「彩美版(R)」は業界屈指のブランドとして、その高い品質から多くの美術愛好家の方に支持されており、美術関係者からも高い評価を得ています。

●技法/彩美版(R)シルクスクリーン併用、一部本金泥使用●限定130部●用紙/特殊絹本●額縁/ステンレス額、アクリル付き(国産)●画面寸法/天地60.6cm×左右26.3cm●額寸法/天地79×左右45.5×厚さ5cm●重量/約4kg●監修/山種美術館館長 山崎妙子●解説/山種美術館館長 山崎妙子●原画所蔵/山種美術館

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